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愛媛を支える150以上道路網と四国ネットワーク
普段私たちが何気なく通っている道路。実は、大きな国道から家の前の細い道まで、役割の違う道路が複雑に組み合わさって私たちの生活を守っています。
道路は「体の血管」と同じ!
愛媛県内には、高速道路や国道だけでなく、県が管理する「56路線」と、市や町が管理する「96路線」があります。合計すると150以上もの路線が、まるで網目のように愛媛中をカバーしています。
これを人間にたとえると、こうなります。
- 国道・高速道路(動脈): 大量の血液(車や物資)を遠くまで一気に運ぶ太い血管。
- 県道・市町道(毛細血管): 体のすみずみ(みんなの家や学校)まで酸素や栄養を届ける細い血管。
大きな道路だけがあっても、そこから枝分かれする細い道がなければ、荷物は玄関先まで届きません。150以上の路線が連携して初めて、愛媛という一つの体が動いているのです。
- 「代替路(だいたいろ)」が命を救う
もしも大きな地震が起きて、メインの道路である「国道56号」が土砂崩れで通れなくなったらどうなるでしょうか?
もし道が一本しかなければ、その先にある街は「陸の孤島」になり、食料も医療品も届かなくなります。ここで重要になるのが**代替路(予備の道)**です。
- ダブルネットワークの力: メインの国道が止まっても、近くを走る「県道」や「市道」が無事であれば、そこを迂回路(うかいろ)として使えます。
- 生存率を左右する: 救急車が病院へ向かうとき、あるいは救援物資を積んだトラックが被災地へ向かうとき、この「予備の道」があるかどうかが、多くの命を救えるかどうかの分かれ道になります。
「1つがダメでも、もう1つがある」 この状態を維持するために、日頃から150以上の路線を整備し、どこかが止まってもつながる仕組みを作っておくことが、災害に強い愛媛県への第一歩なのです。
1. 南予エリア(国道56号のダブルネットワーク化)
南予地方は、リアス海岸や険しい山が多いため、昔から「道が一本止まると孤立しやすい」という課題がありました。
- 現状: メインの国道56号に加えて、「四国横断自動車道(高速道路)」の整備を急ピッチで進めています。
- 代替路の役割: 高速道路が完成すれば、国道56号が地震や大雨で通れなくなっても、高速道路を使って物資や救急車を通すことができます。逆に高速が止まれば国道が助けるという「お互いさま」の関係(ダブルネットワーク)を作っています。
2. 松山エリア(松山外環状道路と周辺の市道)
県都・松山市では、渋滞解消だけでなく、災害時の「逃げ道」確保がテーマです。
- 現状: 「松山外環状道路」(空港や港をつなぐ道)の整備が進んでいます。
- 代替路の役割: 街の中心部が火災や建物崩壊で通れなくなったとしても、この「環状道路(ぐるっと回る道)」があれば、救助部隊が外側から回り込んで被災地に入ることができます。また、これに繋がる多くの市町道も、緊急輸送道路として段差をなくすなどの強化が進んでいます。
3. 東予エリア(国道11号と産業道路の連携)
工場が多い東予エリアでは、経済を止めないための代替路が重要です。
- 現状: 国道11号に並行する「産業道路(県道)」や高速道路の連携を強化しています。
- 代替路の役割: 山側を通る国道と、海側を通る県道。もし津波の心配があるときは山側の道を、土砂崩れのときは海側の道を選択できる「多重性」を持たせる整備を行っています。
4.道路整備の最新キーワード:「多重性」
愛媛県が進めている「新広域道路交通計画」では、この代替路のことを「多重性の確保」と呼んでいます。「1本の強い道を作る」のではなく、「弱点(津波や土砂崩れ)が違う複数の道を用意する」ことが、これからの愛媛のスタンダードになっています。
考えてみよう! 自分の住んでいる場所から、学校や避難所まで「いつもの道」以外に何通りの行き方があるか知っていますか?それが「150以上の支え」の一つかもしれません。
5.愛媛を救う「予備の道」:具体的にどこで整備が進んでいるの?
愛媛県では、災害時に「孤立する地域を出さない」ために、特定のエリアで重点的な整備が進められています。代表的な3つのエリアを見てみましょう。
【南予エリア】宇和島〜愛南(国道56号のバックアップ)
この区間は、急な斜面と海に挟まれており、大きな地震が起きると国道56号が土砂崩れや津波で寸断されるリスクが高い場所です。
- 具体的な動き:「宿毛・内海道路」や「津島道路」といった、高速道路(四国横断自動車道)の未開通区間の整備を急いでいます。
- なぜ重要か: もし津波で沿岸の国道56号が使えなくなっても、山側を通る「高速道路」という代替路があれば、愛南町や高知県境が孤立するのを防げます。命をつなぐ「ミッシングリンク(途切れた輪)」をつなぐ作業です。
【松山エリア】松山外環状道路と「はなみずき通り」などの連携
愛媛で最も人口が多い松山市周辺では、市街地の混雑を避け、救急車や消防車がスムーズに移動できるルート作りが進んでいます。
- 具体的な動き: 「松山外環状道路」(インター線・空港線)の整備です。これに加えて、県道190号(久米垣生線)や、通称**「はなみずき通り」**などの市道・県道が、外環状道路と「網の目」のように繋がっています。
- なぜ重要か: 市中心部(松山市駅や大街道周辺)が火災や建物倒壊で通れなくなっても、この環状道路を使えば、松山空港や松山港から運び込まれた支援物資を、東温市や伊予市の拠点へバイパスして運ぶことができます。
【東予エリア】国道11号と「産業道路」のダブルネットワーク
西条市から新居浜市にかけては、山側に国道11号、海側に県道13号(産業道路)が並行して走っています。
- 具体的な動き: **「新居浜バイパス」や「西条市内の県道整備」**により、国道と県道を行き来できる接続ポイントを増やしています。
- なぜ重要か: 山側で土砂崩れが起きれば海側の「産業道路」へ、海側で浸水が起きれば山側の「国道11号」へ。状況に合わせて**ルートを瞬時に切り替えられる(代替性)**ようにすることで、四国の物流の動脈を止めない工夫がされています。
5.150以上の路線がつながる「強み」
例えば、皆さんの家から学校へ行く道が工事中なら、一本隣の道を通りますよね? 愛媛全体でも同じです。
- 「国道56号」が止まれば、「県道伊予松山港線」へ。
- そこもダメなら、さらに細い「市道」へ。
このように、「150以上の路線」がバトンを渡せる状態にしておくことが、災害時の生存率をあげる「ネットワークの力」なのです。
- 四国は一つ!愛媛と3県をつなぐ「命の十字路」
愛媛県の道路は、単独で存在しているわけではありません。隣の香川・徳島・高知へと伸びる「四国ハチの字ネットワーク」の一部として、四国全体の暮らしを支えています。
1. 【東予 × 香川・徳島】物流のメイン大動脈(国道11号・松山道)
四国の経済を支える最も太いパイプです。
- 具体的なルート: 四国中央市の**「川之江ジャンクション(JCT)」**が心臓部です。ここで、愛媛(松山道)、香川(高松道)、徳島(徳島道)、高知(高知道)の4方向がクロスします。
- 代替路の役割: もし松山自動車道が事故や大雨で通行止めになっても、並行する国道11号がバックアップします。さらに、徳島へ向かう際は「国道192号」という選択肢もあり、常に2つ以上のルートを確保して、四国中のスーパーに物が届かなくなる事態を防いでいます。
2. 【中予・南予 × 高知】山を越え、海をつなぐルート(国道33号・56号)
愛媛と高知は、険しい四国山地を挟んで隣り合っています。
- 具体的なルート: 松山から三坂峠を越えて高知市へ向かう国道33号と、宇和島から愛南町を通って四万十市へ向かう国道56号です。
- 代替路の役割:
- 国道33号(松山〜高知): 現在、急カーブや落石の多い区間を避ける**「橘防災」や「越知道路」**などのバイパス整備が進んでいます。これにより、災害時でも止まらない「最短ルート」を強化しています。
- 国道56号(宇和島〜宿毛): 高速道路(津島道路・宿毛内海道路など)の整備により、海沿いの道が津波で使えなくなっても、山側の新しい道で高知県側から救助部隊を呼べるようになります。
3. 【しまなみ海道 × 広島】本州との「もう一つの玄関口」
四国4県だけでなく、本州との繋がりも忘れてはいけません。
- 具体的なルート: 今治市から広島県尾道市へ続く**「しまなみ海道(国道317号)」**。
- 代替路の役割: 瀬戸大橋(香川)が強風などで通行止めになっても、しまなみ海道が生きていれば、本州からの支援物資を愛媛経由で四国全域に配ることができます。
4.まとめ:愛媛の「150路線」は四国の「ハブ」
愛媛県内の150以上の路線がしっかり整備されているからこそ、四国他県からの応援(消防車や自衛隊、支援物資)が、止まることなくあなたの家の前まで届くのです。
- 四国中央市: 四国の「十字路」として全県をつなぐ。
- 松山市・今治市: 本州や高知からの流れを受け止める。
- 宇和島市: 高知南部との連携を守る。
「道がつながっている」ということ。 それは、愛媛が孤立しないだけでなく、愛媛が困っている他県を助けに行けるということでもあります。四国4県が手を取り合うための「手」の役割を、道路が果たしているのです。
- 【物流・経済】四国の「心臓」と「動脈」
1.愛媛の道路網の重要性
愛媛の道路網は、四国全体のモノの流れをコントロールする重要な役割を持っています。
- 四国の十字路「川之江JCT」: 四国中央市にあるこのジャンクションは、四国4県の高速道路(松山・高松・徳島・高知)が交わる**「四国のへそ」**です。ここがあるおかげで、愛媛の製品は四国全域、そして本州へとスムーズに運ばれます。
- 数字で見る効果: 松山自動車道の整備により、愛媛県内の工場立地数は、整備前に比べて約6倍に増加しました。また、20年間での経済波及効果は約2.1兆円にのぼると推計されています。
- 今後の課題: 現在、松山IC〜大洲IC間などの**「4車線化」**が進められています。2車線(対面通行)だと事故一つで通行止めになり物流が止まってしまいますが、4車線になることで、止まらない「強い動脈」へと進化しています。
2. 【観光】世界とつながる「しまなみ」と「松山」
道路が整備されることで、観光客の動きが劇的に変わりました。
- しまなみ海道の役割: 今治市と広島県尾道市を結ぶ「しまなみ海道」は、今や世界的なサイクリングの聖地です。しかし、実は今治市内にはまだ**「今治道路」**という未開通区間(ミッシングリンク)があります。ここがつながることで、本州からの観光客がさらにスムーズに道後温泉や南予へ移動できるようになります。
- 松山外環状道路の完成: 松山空港から松山ICまでを直結する道路の整備が進んでいます。これが完成すると、空港に降りた観光客が渋滞に巻き込まれず、すぐに県内各地の観光地へ向かえるようになります。
- 数字で見る変化: 高速道路の整備により、愛媛から大阪方面への高速バスの所要時間は、昔に比べて約1時間30分も短縮されました。
- 【現状と今後】「四国8の字ネットワーク」の完成へ
四国4県を「8」の字の形でつなぐ高規格道路の整備が進んでいます。
| エリア | 整備の現状(2026年時点の目標・予測) | 今後の主なプロジェクト |
| 愛媛県全体 | 整備率 約88%(四国平均を上回るペース) | ミッシングリンク(未開通区間)の解消 |
| 南予 | 宇和島〜愛南間の整備が進行中 | 津島道路・宿毛内海道路の全線開通 |
| 中予 | 松山外環状道路の延伸 | 空港線の完全接続による渋滞緩和 |
| 東予 | 今治小松自動車道の強化 | 本州・四国を直結する物流機能の向上 |
これからの愛媛の道路が目指すもの
これまでは「速く移動すること」が目的でしたが、これからは**「絶対に切れないこと」**が目標です。
- ダブルネットワーク: 高速道路が止まっても国道がある。国道が止まっても「150以上の支え(県道・市道)」がある。
- 命の道: 大規模災害時に、全国から救助部隊や物資を「60分以内」に県内各地へ届けるためのネットワークを完成させようとしています。
4. 「四国8の字ネットワーク」:全県を1時間でつなぐ
四国には、4つの県都(松山・高松・徳島・高知)を高速道路で結び、漢字の「8」の字のように循環させる計画があります。
- 現状と今後: 2026年現在、整備率は約90%に達しています。
- 役割(経済): 以前は松山から高知や徳島へ行くのに険しい峠を越えて3〜4時間かかっていましたが、現在は約1.5〜2時間へと大幅に短縮。これにより、愛媛で採れた新鮮な魚や野菜が、その日のうちに四国全域のスーパーに並びます。
- 役割(物流): 四国中央市の**「川之江JCT」**は、この8の字が交差する心臓部。1日に数万台のトラックが行き交う、四国最大の物流拠点となっています。
5. 広島とつながる「中四国連携ルート」
愛媛は四国の中だけで閉じているわけではありません。広島を経由して、山陰(島根)までを南北に貫く**「中四国連携ルート」**の玄関口でもあります。
- しまなみ海道(国道317号):
- 特徴: 世界でも珍しい「自転車で渡れる海上の道」です。
- 観光面: 広島県尾道市から今治市へ、年間を通じて世界中からサイクリストが集まり、愛媛の観光消費を支えています。
- 物流・医療面: 瀬戸大橋(香川)が強風で止まった際、しまなみ海道は風に強いため、本州から四国へ物資を運ぶ**「最後の砦」**になります。また、島しょ部の患者さんを広島や今治の高度な病院へ運ぶ「命の道」でもあります。
3. 高知・香川・徳島との「具体的なつながり」
| つながる先 | 主なルート | 特徴と役割 |
| 香川・徳島 | 国道11号・松山道 | 【産業の道】 製造業が盛んな東予エリアと、四国の物流拠点(坂出・徳島港)を直結。四国外へ製品を出すメインルート。 |
| 高知(北) | 国道33号 | 【防災の道】 険しい山越え区間で「三坂道路」や「橘防災」などの整備が進み、大雨でも止まらない、高知・愛媛間の最短避難・救助ルートを強化中。 |
| 高知(南) | 国道56号 | 【命のバックアップ】 南予と高知の幡多地域を結ぶ。南海トラフ地震時に津波被害が予想される沿岸部を避け、山側に高速道路を整備して、お互いに助け合える体制を作っています。 |
4. ネットワークが生む「未来の愛媛」
これら150以上の県内路線と、隣県へ続く広域ネットワークが組み合わさることで、以下のような未来が作られています。
① 「60分」の魔法
愛媛県のどこで大きな災害が起きても、このネットワークを使えば、60分以内に県内外から救助隊や物資が駆けつけられるよう設計されています。これを「広域道路ネットワークの速達性」と呼びます。
② 経済の「ストック効果」
道路ができると、その周りに新しい工場やショッピングモールが建ちます。これが*「ストック効果」です。愛媛の道路ネットワークが広がることで、地元の企業が全国へ進出しやすくなり、新しい雇用(みんなが将来働く場所)が生まれています。
まとめ:道は「可能性」をつなぐもの 愛媛の道は、家の前から始まり、川之江で四国とつながり、しまなみで本州へとつながっています。 この巨大なネットワークがあるからこそ、私たちは安全に暮らし、美味しいものを食べ、遠くの人と交流できるのです。
5.道路を守る!維持管理(道を直す仕事)の重要性
150以上の路線が四国中、そして本州へとつながる巨大なネットワーク。これらは、作って終わりではありません。毎日安全に使えるように裏側で支える「維持管理」という仕事が、実は私たちの生活を最も身近で守っています。
中高生のみなさんに、道路のメンテナンスがなぜ「命に関わる仕事」なのか、具体的な数字と役割を解説します。
1. 道路にも「寿命」と「健康診断」がある
道路は、毎日何万台もの重いトラックが走り、雨や雪、紫外線にさらされています。放っておくとボロボロになり、大きな事故につながります。
- 舗装(アスファルト)の寿命: 一般的に10年〜15年と言われています。ひび割れを放置すると、雨水がしみ込んで道路の下が空洞になり、突然「陥没(かんぼつ)」する原因になります。
- 橋やトンネルの「50年問題」: 愛媛県内にある多くの橋やトンネルは、高度経済成長期に作られ、建設から50年以上が経過しています。これらを一斉に点検・補修する「老朽化対策」がいま、最も重要な課題です。
2. 「予防保全」:病気になる前に治す!
昔の維持管理は「壊れてから直す(事後保全)」が主流でしたが、今は「壊れる前に直す(予防保全)」へと進化しています。
- コストの差: 完全に壊れてから作り直すと、メンテナンスの数倍〜数十倍の費用がかかります。みんなの税金を賢く使うためにも、こまめな「健康診断(点検)」と「早めの治療(補修)」が欠かせません。
- 最新技術の導入: 最近では、AIを搭載したカメラで路面のひび割れを自動で見つけたり、ドローンを使って人間が近づけない橋の裏側を点検したりと、ハイテクな技術が活躍しています。
3. 災害時に「道をひらく」:道路啓開(どうろけいかい)
地震や豪雨が起きたとき、真っ先に現場に駆けつけるのは、実は道路を管理している建設会社の人たちです。
- 「くしのは作戦」: 災害で寸断された道路を、まるで「くしの歯」を刺すように、外側から一本ずつ通行可能にしていく作業を道路啓開と呼びます。
- 命のバトンをつなぐ: 道路に散乱した土砂や倒木をどかして「最初の一本」を通すことで、初めて救急車や自衛隊が被災地に入ることができます。「維持管理」のプロが道をひらかなければ、救える命も救えません。
4. 維持管理が支える「経済と観光の信頼」
道が「いつも通り通れる」という当たり前が、愛媛のブランドを支えています。
- 物流の信頼: 「川之江JCT」周辺の道が常にきれいに保たれているから、四国中の物流が止まらずに回ります。
- 観光の満足度: 「しまなみ海道」の橋が美しく安全に保たれているから、世界中からサイクリストが安心してやってきます。
まとめ:道を作るのは「未来」、守るのは「命」
新しい道を作ることは「未来の可能性」を広げることですが、今ある道を維持管理することは**「今ある命と暮らし」**を直接守ることです。
- 数字で見る重要性: 愛媛県の道路予算のうち、かなりの割合がこの「維持管理・更新」に使われており、その額は年間で数百億円にのぼることもあります。
考えてみよう! 通学路で「新しくアスファルトが塗り直されている場所」や「橋の点検をしている作業員さん」を見かけたことはありませんか? それは、愛媛の150以上のネットワークが途切れないように、誰かがバトンをつないでくれている証拠なのです。
6.道路を守るプロの技:具体的な工法ガイド
私たちが普段走っている道路がデコボコにならず、山崩れも起きず、雨の日でも冠水しないのは、高度な建設技術(工法)が使われているからです。
1. 道路補修:アスファルトの「若返り手術」
道路の表面(舗装)を直す工事です。ただ上から塗るだけでなく、原因に合わせて工法を選びます。
- 切削オーバーレイ工法(せっさくおーばーれい): 古くなってひび割れたアスファルトの表面を、専用の機械で数センチ削り取り、その場で新しいアスファルトを敷き詰める工法です。
- 特徴: 道路の高さを変えずに、短時間で新品同様の滑らかさに戻せます。
- 路上再生路盤工法(ろじょうさいせいろばん): 傷んだ道路を壊して捨てるのではなく、その場で砕いてセメントなどと混ぜ、道路の「土台(路盤)」としてリサイクルする環境に優しい工法です。
- パッチング: 小さな穴(ポットホール)を緊急で埋める応急処置です。冬の寒さや雨で剥がれた部分を素早く治します。
2. 法面(のりめん)工事:山の斜面を「鎧」で固める
愛媛や四国は山道が多いため、土砂崩れを防ぐ斜面(法面)の工事は命に関わります。
- 吹付枠工(ふきつけわくこう): 斜面に格子状の型枠を設置し、その中にコンクリートを吹き付けて「ジャングルジム」のような構造を作る工法です。
- 特徴: 山の斜面をガッチリ押さえ込みます。枠の間には草を植えることができ、景観や環境にも配慮できます。
- アンカー工: 斜面の中に数メートル〜数十メートルの長い鉄筋(アンカー)を深く打ち込み、奥にある固い岩盤と表面を「ボルト」のように締め付けて固定する工法です。
- モルタル・コンクリート吹付工: 斜面全体をコンクリートの層で覆い、雨水が土にしみ込むのを防ぎます。
3. 水処理(排水):道路の「水たまり」をなくす
雨の日にスリップ(ハイドロプレーニング現象)を防ぐための重要な技術です。
- 高機能舗装(排水性舗装): アスファルトの粒の間に「すき間」を作った特殊な舗装です。
- 仕組み: 雨水が道路の表面を流れず、舗装の中を通り抜けて横の排水溝へ流れます。
- メリット: 水たまりができず、夜間の視認性も良くなり、タイヤの走行音も静かになります(低騒音効果)。
- 側溝(そっこう)と集水桝(しゅうすいます): 道路の端にある溝です。最近では、落ち葉などが詰まりにくい構造や、自転車のタイヤがはまらないような蓋(グレーチング)が使われています。
7.最新技術・デジタル×道路整備
最近では、人の目だけでなく「デジタル」を使った管理が主流になっています。
- MMS(モービル・マッピング・システム): レーザースキャナを搭載した車で走り抜けるだけで、道路のわずかな凹凸や標識の位置を数センチ単位の3Dデータで記録します。
- AI診断: ドラレコの映像をAIが解析し、「このヒビは来年までに直すべき」といった優先順位を自動で判断します。
- 遠隔操作(i-Construction): 法面工事などで、人間が行くのが危険な急斜面を、離れた場所からラジコンのように重機を操作して作業する技術も導入されています。
まとめ:150以上の路線を支える「職人技」
これらの工法は、愛媛県内の建設会社の方々が、昼夜を問わず(時にはみんなが寝ている夜中に)行っています。
- 補修: 走り心地を守る
- 法面: 崩落から守る
- 水処理: 視界とスリップから守る
8.道路ネットワークの「守り人」:建設業界のお仕事
愛媛県内150以上の路線を維持し、四国・本州へとつなぎ続けるために、多様なプロフェッショナルがチームで動いています。
1. 現場監督(施工管理技士):チームの司令塔
工事現場全体の「指揮」を執るプロです。
- 役割: 「設計図通りに作られているか」「工事の期限は守れるか」「作業員さんの安全は守られているか」を常にチェックします。
- やりがい: 何もない場所に道ができたり、ボロボロの橋がピカピカに直ったりする様子を一番近くで見届けられます。自分の仕事が**「地図に残る」**という大きな達成感があります。
2. 重機オペレーター:巨大な手足を持つ技術者
バックホウ(ショベルカー)やブルドーザー、ローラーなどの重機をミリ単位で操るスペシャリストです。
- 役割: 道路の土台を平らに削ったり、法面(斜面)を整えたりします。最近では、「ICT建機」*と呼ばれる、人工衛星(GNSS)のデータと連動して自動で動く最新の重機を操る「スマートな技術者」が増えています。
- やりがい: 自分の腕一本で、巨大な岩を動かし、美しい道路の形を作り上げる職人技は、まさに「現代の魔法使い」です。
3. 土木技術者(設計・調査):道路のドクター
工事が始まる前に、地質を調べたり、最適な工法を考えたりする仕事です。
- 役割: ドローンを使って現場を3D計測したり、AIを使って橋のひび割れを診断したりします。
- やりがい: 最新テクノロジーを駆使して、**「100年持つ道」**をデータから作り出す、知的なプロフェッショナルです。
9.愛媛の建設業界が持つ「特別な役割」
愛媛でこの仕事に就くことには、大きな「誇り」があります。
① 災害時の「ファーストレスポンダー」
大雨や地震で道が塞がれたとき、警察や消防よりも先に現場に到着して道を切り拓く(道路啓開)のは、地元の建設会社の人たちです。
「自分たちがやらなきゃ、救急車が通れない」 そんな強い責任感を持って、嵐の中でも現場へ向かいます。
② 地域経済を回す「エンジニア」
道路ができることで、新しいお店ができ、観光客が来ます。建設業は、愛媛の経済を動かす「仕掛け人」でもあります。
③ 地元・愛媛への貢献
中予や南予、東予など、自分が生まれ育った街の道を、自分の手で守る。家族や友達が通る道を安全にする。そんな「顔が見える貢献」ができるのが、この仕事の最大の魅力です。
未来の愛媛を創るみなさんへ
今、建設業界は「i-Construction(アイ・コンストラクション)」という変革の真っ最中です。
- 3Dデータの活用: ゲームのような感覚で現場をシミュレーション。
- リモート作業: 涼しい事務所からラジコンのように現場の機械を操作。
- 週休2日の推進: 「きつい・汚い」から「かっこいい・稼げる・休日もしっかり」な業界へ。
最後に: 愛媛の「150以上の支え」は、こうした情熱を持った「人」によって支えられています。もし道で工事をしている人を見かけたら、「あ、愛媛の動脈を守ってくれているんだな」と思い出してみてください。
