feautre特集
当たり前の水を守る!愛媛の水インフラ最前線
愛媛はいま「インフラ修繕の時代」に突入!水問題編
〜当たり前に水が出る未来を、キミたちの手で守る〜
みんなが毎日、蛇口をひねれば当たり前に出てくる「水」。実は今、愛媛県内の水道やダムが大きな曲がり角を迎えています。
私たちが豊かな生活を送り続けるために、いま何が起きているのか? 建設がどう立ち向かっているのか? そのリアルを数字で見ていきましょう。
① 愛媛の水はどこから来る?(水源の現状)
愛媛県の水は、主に「ダム・川・地下水」の3つに支えられています。地域によってそのバランスが違うのが特徴です。
■ 松山エリア:ダムと地下水のハイブリッド
- 石手川ダム(松山市):1973年完成。松山市の水道水の約50%を担う「松山の命綱」です。
- 重信川水系(東温市・松前町など):地下水や伏流水(川の底を流れる水)を利用し、残り約40%をカバーしています。
■ 南予エリア:巨大ダムによる治水と利水
- 鹿野川ダム(大洲市):1958年完成。貯水量は約4,800万㎥と巨大で、農業や発電にも使われます。
- 野村ダム(西予市):1982年完成。南予の生活を支える重要な拠点です。
■ 東予エリア:水の都と名水
- 面河ダム(久万高原町):仁淀川の上流にあり、四国トップクラスの水質を誇ります。
- うちぬき(西条市):石鎚山系の良質な地下水が自噴する「水の都」。
② 愛媛の「水」を支える5つの現状と課題
愛媛県は地域ごとに水の使い道や確保の仕方が異なります。
1. 生活を支える「上水道」:松山市の200年問題
- 現状:松山市の水道管の総延長は約3,500km。そのうち、法定耐用年数(40年)を超えた老朽管の割合は約25%に達しています。
- 課題:現在の更新ペース(年間約15km程度)では、すべての古い管を替えるのに200年以上かかる計算です。
- リスク:2023年には松山市内で大規模な漏水事故が発生し、道路が陥没する事案も起きています。
2. 産業を支える「工業用水」:東予の製造業を守る
- 拠点:四国中央市(製紙業)や新居浜市・西条市(化学・鉄鋼)など。
- 現状:例えば、銅山川系のダムから送られる水は、愛媛の経済を支える大動脈です。
- 修繕:50年以上経過した送水トンネルや巨大なポンプ設備の補修が急務となっています。ここが止まると、地域の雇用や経済がストップしてしまいます。
3. 食を支える「農業用水」:南予のみかん・東予の米
- 拠点:西予市(野村ダム周辺)や今治市(道前道後水利)など。
- 課題:農業用のため池は県内に約11,000カ所(全国3位)ありますが、その多くが江戸時代〜明治時代に作られたもので、老朽化による決壊リスクがあります。
- 整備:地震で堤防が崩れないよう、コンクリートでの補強や水位センサーの設置が進んでいます。
4. 命を守る「防災(治水)」:雨の降り方の変化
- 地名:大洲市・西予市(肱川流域)。
- 現状:2018年の西日本豪雨以降、ダムの役割が「貯める」から「いかに安全に流すか」へ劇的に変化しました。
- 対策:鹿野川ダム(大洲市)では、約240億円を投じて「トンネル放流設備」を新設。これにより、従来の約2倍の水を緊急放電できるようになりました。
5. 人口減少という逆風
愛媛県の人口は現在約130万人ですが、将来は100万人を下回ると予測されています。
人口が減ると水道料金の収入が減ります。でも、古い管を直す費用はどんどん上がっていくという苦しい状況です。お金が足りない状況を迎えます。
③ 建設の最新技術と再開発で「水」を守る!
「全部を一気に直すお金も人もない」……。そこで、最新の建設技術(ICT・AI)と再開発で「賢く直す」のが今後の取り組みです。
AIとデータで「見えない敵」を探す
- 漏水検知AI:松山市などでは、水道管に振動センサーを設置。AIが「水が漏れている音」を自動判別し、地面を掘る前に場所を特定します。
- 地中レーダー:道路の上から電磁波を当て、水道管の周りに空洞ができていないか(陥没の予兆がないか)を調査します。
「造り替える」再開発プロジェクト
- ダムの再開発:*石手川ダム(松山市)では、貯水池に溜まった土砂を取り除く「堆砂対策」を継続。また、山鳥坂ダム(大洲市・計画中)のように、新しい治水の仕組みも検討されています。
- 耐震化の推進:南海トラフ地震に備え、病院や避難所に繋がる重要な水道管を、震度7でも抜けない「耐震継手(NS形)」という特殊な管に優先的に交換しています。
③ なぜ今、君たちの力が必要なのか?
1:人口減少と「選択と集中」
愛媛の人口は将来、現在の130万人から100万人以下へ減ると予測されています。お金も人手も限られる中、「どの水道管から先に直すべきか?」という高度な判断ができるエンジニアが必要です。
2. 災害の激甚化
線状降水帯による豪雨や、南海トラフ地震。これらから街を守るのは、巨大な壁を作る「建設」と、それを維持する「修繕」の力です。
3. 建設業は「ハイテク・エッセンシャルワーク」
今の建設現場は、キミたちが想像する「きつい・汚い」だけではありません。
- ドローン:ダムや橋のひび割れを空からチェック。
- 自動運転重機:人が入れない危険な土砂崩れ現場をリモート操作で復旧。
- 3Dモデル:iPadを使って、地面の下にある複雑な管の配置を可視化。
「水を守ることは、愛媛の未来を創ること」
蛇口から透明な水が出る。トイレが流れる。これらは「魔法」ではなく、誰かが設計し、誰かが穴を掘り、誰かが24時間監視しているから実現している「技術の結晶」です。
愛媛は今、「新しく作る時代」から「知恵を使って水を守り抜く時代」へシフトしました。 この「修繕時代」の主役は、これから社会に出る中高生たちです。
